だいこく様から小槌を振って福を授けられる「だいこく祭り」

随神門をくぐったすぐ左手に高さ6m余の大きな大黒像が立っている。神田明神一之宮祭神の大己貴命(おおなむちのみこと)別名大国主命の像だ。国土経営、夫婦和合、縁結びの神として崇敬されているが、初詣の賑わいから間もない、成人の日にいたる3日間、だいこく祭が催される。

この日だいこく様に扮した神楽師が成人式を終えた参拝者の頭上に、小槌を振って福を授ける姿が見られ午後3時からはだいこく像の前でだいこく祭が行われる。この期間中だけ一生の福を招くとされる「福笹守り」が授与され神田囃子や将門太鼓の演奏なども披露される。

だいこく像

だいこく像

高さ6.6m、重さ約30tで石造りとしては日本一のだいこく像として昭和51年に建立された。

参詣客に福を授けるだいこく

参詣客に福を授けるだいこく

境内に混みあう参詣客の求めに応じ、頭を垂れる参詣客に小槌や鈴を振って福を授ける。

 

だいこく

日本においては、大黒の「だいこく」が大国に通じるため、古くから神道の神である大国主と混同され、習合して、当初は破壊と豊穣の神として信仰される。後に豊穣の面が残り、七福神の一柱の大黒様として食物・財福を司る神となった。室町時代以降は「大国主命」の民族的信仰と習合されて、微笑の相が加えられ、さらに江戸時代になると米俵に乗るといった現在よく知られる像容となった。現在においては一般には米俵に乗り福袋と打出の小槌を持った微笑の長者形で表される。袋を背負っているのは、大国主が日本神話で最初に登場する因幡の白兎の説話において、八十神たちの荷物を入れた袋を持っていたためである。また、大国主がスサノオの計略によって焼き殺されそうになった時に鼠が助けたという説話から、鼠が大黒天の使いであるとされる。

参詣客で混みあうだいこく像前

参詣客で混みあうだいこく像前

えびす様も応援に来て福を授ける

えびす様も応援に来て福を授ける

本場の神田囃子が耳に心地良い

本場の神田囃子が耳に心地良い

大黒と恵比寿

大黒と恵比寿は各々七福神の一柱であるが、寿老人と福禄寿が二柱一組で信仰されると同様に、一組で信仰されることが多い。神楽などでも恵比寿舞と大黒舞で知られ、このことは大黒が五穀豊穣の農業の神である面と恵比寿が大漁追福の漁業の神である面に起因すると考えられている。また商業においても農産物や水産物は主力であったことから商売の神としても信仰されるようになっていった。

だいこく祭り風景

神田神社には今まで幾度と無く訪れているが、主祭神・大己貴命が人々に馴染みのだいこく様とは思いが至らず、大きな像が隋神門をくぐったすぐ左にある意味が分からなかった。だいこく祭りで初めて理解したが迂闊なことだ。そのだいこく像前は大勢の参詣客で賑わっていて、像の前に「だいこく」と「えびす」に扮する神楽師が、お参りする人々に打ち出の小槌と鈴を振ってご利益を授けている。

成人の日の神田神社境内はこのだいこく祭りのせいなのか、或は成人の日だからなのか、大勢の参詣客が訪れ、神楽殿で奏でられる神田囃子の賑やかな音色とあいまって、すっかりお祭り気分だ。ただ、不思議なことに和服に着飾った成人の娘さん達には1人も会わなかった。だいこく像の前にいた大黒と恵比寿は境内を歩き回りながら、人々に福を授け或は一緒に記念写真を撮ったりで大忙しだ。

基本情報

日程: 成人の日にいたる3日間
アクセス: JR御茶ノ水駅
場所: 神田神社(千代田区外神田2-16-2)
連絡先: 03-3254-0753

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